2015年08月27日(木)
キリン [日記]
今日の一句
燃えるキリンの絵になりたかった 浮浪雀
多崎つくる、読了
中程期待させるが、終盤なんだへたれかよ、と突っ込みを入れる展開になる。
恒例の謎が多い小説なので、
ネットで謎解きしているのを読もうと思って
2,3当たったが、つまらないものばかりだった。
それなら自分で書けよ、ということになる。
<人の心は夜の鳥なのだ。それは静かに何かを待ち受け、
時が来れば一直線にそちらを向けて飛んでいく。>
「人の心は夜の鳥」
かっこいいよね。
村上春樹の比喩は、少しやりすぎかあまりにも的確で
私のようにすぐ自意識が作動するタイプの読者には
けっこう面倒な代物なのだった。今引用したところは
かろうじてそうした自意識の罠をくぐり抜けて、
及第点をあげることが出来る。えらそうだな自分。
ところで、色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
女のいない男たち
2作で扱っているのは「老い」の問題である。
「すべてが時の流れの中に消えてしまったわけじゃないんだ」
そう言えるのは「すべてが戻ってこないことを知っているから」なのだ。
そのことを知って始めて
「そんな思いがそのままどこかに虚しく消えてしまうことはない」
と断言できる。
とまあそんなことを思いながら、業務2
行きの中央線でちょっとびっくりした。
乗り込んだ電車はけっこう混んでいた。
でもドア側の席がひとつ空いたので座ることができた。
いつもは席が空いていても座らないんだが、今日はとりあえず座りたい気分だった。
iphoneでyahooの記事を読んでいた。
中野について、右後ろのドアが開いた。
ホームから駅員が乗り込んできた。
まっすぐ私の所へ来て、何か言った。
何か私が指名されることがあったのだろうか。
何を言っているのかよくわからなかった。
ともかく降りるように促された。
事態が飲み込めぬまま、iphoneをしまってホームに落りた。
「女性車両です」
やっと意味がわかった。駅員は私が事態を理解したとわかると、そのままどこかへ消えた。
私はすぐに空いていたドアから隣の車両に入った。
恥ずかしかった、がそれだけじゃない。
なんだか理不尽な淡い怒りのようなものも感じた。
これはなんだ。
なんで駅員が来たんだ。だれが知らせたのだろう。
どうやって知らせたんだ。直接言ってくれてもよかったんじゃないか、
と思ってすぐに、それは無理だな、と思い返した。
男性車両、というのも作ってもいいんじゃないか、とも思った。
あたりを見るとこの車両は男ばかりだった。
新宿で若い男の二人連れが入ってきた。
「あせった。女性車両だった」
「忘れてた」
二人も女性車両に乗り込んで、それに気づき(あるいは気づかされ)こちらに乗り込んできたのだった。
女性車両があるのは知っていたが、それは自分と関係ない世界のことだと思っていた。
それがそうじゃなかった。
そのだまされた感じが淡い怒りの正体の一部だと気がついた。
なんだか釈然としないまま、とりあえず釈然としないことがらの引き出しに入れて蓋を閉めた。
前回はまったく快適だった業務2でも
釈然としない引き出しを開けてなかに放り込まなければならないことが持ち上がった。
業務2は採用の時、誓約書を書いた。
業務で知り得たことを外部に漏らしてはならない、というものである。
署名捺印した。
それでここにそれ以上書くこと名出来ない。
いつか引き出しを開けて、人様におみせできるものに変わっていたら
紹介しようと思う。
でもまあ、時間通りに業務は終了。
お先に失礼します、と言って撤収した。
ネタは増える一方である。
道草して帰宅。
Posted at 21時01分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
トラックバック
トラックバックURL
http://blog.pahko.jp/tb.php?ID=4284