ぱーこシティ

防災センター

今日の一句
霧の朝ぬっと首出すケロベロス　浮浪雀

結局夜中にmacOSのバージョンアップしたまま
もう一度寝て７時半頃起きる。

サワコの朝
ファッションデザイナー
森英恵の孫
知らない人だった。

風呂に入るときは豊作ラジオでFMを聞く。
この前MCの女の子が、この歌が大好き
歌詞は北山修という精神科医の人なんだけど、油分な言葉がなくてうまい。
歌っているのははしだのりひことクライマックス
（この名前も知らないようだった）、と紹介して曲を流した。

♪花嫁は夜汽車に乗って
♪嫁いでいくのよ
とう懐メロをやった。
この北山修の紹介で
なんだか私のよく知らない精神科医をやっている人の歌詞
というところで、もうそういう時代なんだと思い愕然とする。
みんな知っていると私が思っていることがほとんど通用しない
そういう世の中になっているんだ、と思った。

小林克也のベストヒットUSAをなんとなく録画して見ている。
オープニングは昔と全く同じで、小林克也はもうじいさん（喜寿だという）で
言葉がとどこうっているんだが、それでも気にしないで押していくところが感動的。
アメリカの若いバンドがでてきて、英語でやり取りする。
こういう昔の古い曲はどうかな、とイントロクイズをやる。
その古い曲てのがビートルズだったりする。
知ってる、知ってると若いメンバーが答えたりする。

そうか、古い昔の曲なんだ。
ベートルズはデビューから解散まで一連のストーリーがある。
そういうこととはまったく無関係に抜き出した曲の感想を聞いたりする。
微妙に違うんだけどなあ、と思う。

さて今日は、三田誠広先生の講演を聞きにいく。
青春３部作に見る漱石の魅力
と題した市民文化講座の一部である。
三田先生は私と同じ学年。
芥川賞作家である。「僕って何」を発表当時読んだが、
何も覚えていない。

今どんな話をするのか、ってことに興味があった。

会場は120人分の椅子が並べてある４階のホール。
８０人ばかりが集まっている。私と同年代のじいさんばあさんである。
文化講座だからそれなりの老人たちである。

先生は10分ほど前から壇上にいて
左の白板に明治初期の文学者の名前、年代、代表作を書いていく。
坪内逍遥から始まって樋口一葉ぐらいまで。
夏目漱石のところは代表作を我輩は猫である、虞美人草、三四郎、それから、門、こころ、まで書いた。坊ちゃんは抜いてある。
右の白板には、三角形をたくさん書いて、それぞれの頂点には小説の人物名が書いてある。作品内の登場人物に三角関係の構造があり、そこに加害者が被害者になる救いの契機が隠れている、という主張らしい。

話はもちろん原稿も見ずに、坪内逍遥の小説神髄がとりあげたノベルとは何か。というところから始まって、中国の小説、ヨーロッパのロマンとノベル、江戸時代の言語文化、などいわゆる文学にまつわる一般教養を知的漫談調に話した。
村上春樹のようなチャラい小説、などと村上主義者が聞いたら、聞き捨てならないことをしれっという。三田先生、当時は早稲田で村上春樹と同窓のはずだが、もちろん広い大学なので、直接知り合っていたとは思えない。村上春樹の小説は学生運動の挫折の上になりっている、と紹介した。「僕って何」は学生運動のいわゆるノンポリの学生の生活と意見、といった趣の小説だとウィキペディアにあった。
まあそんな１時間ぐらい前説があって、やっと漱石の話になる。

先生のいう三角関係の構造はレヴィストロースの構造主義から来た文学の批評方法で、これによれば、漱石の作品はもちろん志賀直哉の暗夜行路も源氏物語も、みなこの構造論で解明できる、ということのようだ。

10時から12時までが講演時間で5分前に話は終わった。司会の人から何か質問ありますか、と定番の発言がある。一般聴衆80名が沈黙する中、私が挙手して質問した。
もちろん質問というより意見だね。

こころの三角関係では先生はkを自殺に追い込んだ罪を「私」と妻を引き合わせることによって解消しようとしている。こころが傑作である所以はこの３角形が２つあり、先生ーKーお嬢さんと先生ー妻（お嬢さん）ー「私」の２つの三角形が先生を共有している構造になっていて、その共有点で加害ー被害の同時解消が起こり、先生が救われる、というものだ。この作品にははっきり書いていないが、先生は『私」に奥さんを押しやることで自分が被害者の立場になって罪から逃れようとしている、という解釈である。

私は読んでみてもそういう解釈ができるとは思わない。そこのところをもう少し説明してくれないか、と発言した。三田先生は、これを言い出したのは私じゃない、＊＊がお嬢さんと先生は年が離れていて、「私」とお嬢さんの年が近く似合いの二人である。こころの最後は先生の自殺で終わっているが、私がこの後を続けてかけば「私」と未亡人となった先生の奥さんとの関係を書くでしょう、と言って私の質問に答えていた。

私は構造主義の解釈に囚われたエビデンス（こころの中の具体的言明）のない主張だと思った。しかしこの物の見方はやはり面白かった。主体的意思のある個人が行動するのではなく人間関係ではある関係のパターンがあってそれを物語内の人間は担わされる、という解釈だ。コングの定型、生物の個体は遺伝子運搬の働きをしているだけにすぎない（selfish gene)、などという見方と同じなので、説得力はある。

てなことを午前中聞いて、帰宅後昼食、昼寝。

夕方位買い物、夕立、帰宅と休日の午後を過ごした。
課題はなかなか終わらない。